整備士が解説|冬の融雪剤で車が錆びる?下回りを守るために知っておきたいこと

整備士が解説|冬の融雪剤で車が錆びる?下回りを守るために知っておきたいこと

冬の道路を走っていると、路面に白っぽいものが撒かれていることがあります。

これは凍結防止剤や融雪剤です。

雪道や凍結路での安全確保には欠かせないものですが、車にとっては少し気になる存在でもあります。

特に注意したいのが、

車の下回りの錆び・腐食です。

今回は整備士目線で、冬に車の下回りが錆びやすくなる理由と、冬の間にできる対策について解説します。

そもそも融雪剤って何?

冬の道路では、路面凍結を抑えたり、除雪作業の効果を高めたりするために凍結防止剤・融雪剤が使用されます。

代表的な成分として、

  • 塩化ナトリウム
  • 塩化カルシウム

などがあります。

道路の安全を確保するために重要なものですが、車の金属部品にとっては腐食の原因になることがあります。(国土交通省⁠)

なぜ車が錆びやすくなる?

車の下回りには、

  • サスペンション部品
  • ブレーキ周辺
  • サブフレーム
  • ボルト・ナット
  • マフラー
  • ボディパネル
  • フレーム

など、たくさんの金属部品があります。

そこに、

水分+塩分

が付着した状態が続けば、金属の腐食につながりやすくなります。

特に雪道を走った後は、普段より下回りに水分や融雪剤が付着している可能性があります。

「表面が錆びているだけ」とは限らない

整備士として注意したいのがここです。

ボルトや部品の表面に少し錆が見えているだけなら、見た目の問題で済むケースもあります。

しかし、腐食が進行すると、

  • ボルトが固着する
  • 部品の強度が低下する
  • 整備時にボルトが折れる
  • サスペンション周辺が腐食する
  • フレームなどの重要部位が腐食する

といった問題につながることがあります。

国土交通省でも、凍結防止剤によるフレームの腐食が原因で部品が脱落し、操縦不能につながった事例を紹介しています。(国土交通省⁠)

特に注意したいのは「下回り」

普段、車に乗っているだけでは下回りを見る機会はほとんどありません。

そのため、

「見えないところで錆が進んでいる」

ということがあります。

特に雪道を頻繁に走る車や、降雪地域で使用されている車は、一度リフトアップして確認すると安心です。

整備工場でオイル交換やタイヤ交換をするときに、

「下回りも一緒に見てもらえますか?」

とお願いするのも一つの方法です。

冬に洗車しても大丈夫?

「冬はどうせまた汚れるから洗車しなくてもいい」

と思う人もいるかもしれません。

しかし、冬こそ下回りをきれいにする意味があります。

雪道を走った後は、ボディだけでなく、

タイヤハウスや車体下部にも汚れが付着します。

可能であれば、洗車時に下回りも洗い流しておきましょう。

高圧洗浄は使い方に注意

下回りを洗うために高圧洗浄機を使う場合は、むやみに近距離から一点へ当て続けないことも大切です。

部品やブーツ、シール類などには、それぞれ役割があります。

「汚れを落とす」ことを目的に、適切な距離・角度で使用しましょう。

冬の終わりにも下回りをチェック

冬の間に一度洗ったから終わりではありません。

雪のシーズンが終わった春にも、一度下回りを確認しておくと安心です。

特に、

  • 錆が増えている
  • 錆が広がっている
  • ボルト周辺が腐食している
  • サスペンション部品に腐食がある
  • フレーム周辺に腐食がある

などの場合は、整備工場で点検してもらいましょう。

防錆処理も選択肢

雪道を頻繁に走る地域では、下回りの防錆処理を行う方法もあります。

ただし、

「とりあえず黒く塗ればOK」

というものではありません。

すでに錆が進行している部分を確認せず、その上から処理してしまうと、状態を把握しにくくなる場合があります。

防錆処理を検討する場合は、まず下回りの状態を確認してから施工方法を選ぶことが大切です。

冬前にチェックしておきたい下回り

冬本番前なら、次のようなところを確認してみましょう。

□ 下回りに大きな錆がない

□ サスペンション部品に異常がない

□ ブレーキ周辺に異常がない

□ マフラー周辺に異常がない

□ フレーム・サブフレームに腐食がない

□ ゴムブーツ類に破れがない

□ 下回りから異音がない

□ 必要に応じて防錆処理を検討する

特に雪道を走る予定がある場合は、冬前に一度確認しておくと安心です。

融雪剤は「悪者」ではない

ここは誤解してほしくないポイントです。

融雪剤は車を錆びさせるために撒かれているわけではありません。

凍結した道路でのスリップや交通障害を防ぐために必要なものです。

つまり、

道路の安全には必要だけど、車にとっては腐食に注意したいもの。

ということです。

だからこそ、融雪剤が撒かれる地域を走る人は、車側で適切な対策をしておくことが大切です。

整備士からひとこと

冬の車メンテナンスというと、どうしてもタイヤやバッテリーに目が行きます。

でも、整備士が車をリフトアップすると、

「下回り、結構錆びてるな」

という車を見ることがあります。

普段は見えない場所だからこそ、定期的な確認が重要です。

雪道を走った後は、可能な範囲で下回りを洗い流す。

そして冬が終わったら、一度状態を確認する。

これだけでも車の状態を把握しやすくなります。

冬支度は、車の上だけではなく「車の下」も忘れずに。

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