【現役整備士が解説】オイル交換は車種によってこんなに違う!作業内容・必要工具・最新車の注意点を徹底解説
はじめに
「オイル交換なんて、古いオイルを抜いて新しいオイルを入れるだけ。」
そう思われる方も多いのではないでしょうか。
確かに作業内容だけを見るとシンプルですが、現役整備士として約10年間さまざまな車を整備してきた中で感じるのは、車種によってオイル交換の方法や作業時間は大きく異なるということです。
オイルフィルターの位置、アンダーカバーの有無、使用する工具、オイル量、さらには交換後のリセット作業まで、メーカーや車種によって違いがあります。
そのため、同じ「オイル交換」という作業でも、車によって必要な時間や工賃が変わることがあります。
この記事では、普段なかなか知ることのできない整備現場の視点から、オイル交換の違いについて分かりやすくご紹介します。
オイル交換はどの車も同じではない
オイル交換は、車種が違っても基本的な目的は同じです。
エンジンオイルを新しいものへ交換し、エンジン内部を良い状態に保つことです。
しかし、実際に作業を始めると、
- オイルフィルターの位置
- オイルを抜く方法
- アンダーカバーの有無
- 必要な工具
- オイル量
- オイル量の確認方法
- リセット方法
など、驚くほど違いがあります。
整備士は車種ごとの整備書やメーカー指定の作業方法を確認しながら、安全かつ確実に作業を進めています。
オイルフィルターの位置は車種によってさまざま
オイルフィルターは、すべての車で同じ場所に付いているわけではありません。
例えば、
- エンジンルーム上側から交換できる車
- エンジン横に取り付けられている車
- 車体下側から交換する車
など、メーカーや車種によって位置が異なります。
さらに最近では、下側に取り付けられていても、オイルが周囲へ飛び散りにくいよう角度まで考えられて設計されている車種もあります。
整備性だけでなく、メンテナンス時の作業性まで考慮されていることが分かります。
📷 ここに写真
- エンジン上側
- 横向き
- 下向き
オイルフィルターには2種類ある
オイルフィルターには大きく分けて2種類あります。
どちらもエンジンオイルをろ過する役割は同じですが、交換方法が異なります。
スピンオンタイプ(ケースごと交換)
昔から多く採用されているタイプです。
金属製のケースごと新品へ交換します。
特徴
- ケースごと新品になる
- 交換作業が比較的簡単
- 多くの国産車で採用されている
整備工場でも見かける機会が多いタイプです。
📷 ここに写真
新品スピンオンフィルター
カートリッジタイプ(濾紙のみ交換)
最近の国産車や輸入車で採用が増えているタイプです。
ケースはそのまま再利用し、中の濾紙(フィルターエレメント)のみ交換します。
交換時には、
- Oリング
- パッキン
なども新品へ交換することが重要です。
また、締め付けトルクも指定されているため、締めすぎや締め不足には注意が必要です。
環境負荷を減らせるメリットもあり、近年はこちらの採用例が増えています。
📷 ここに写真
- カートリッジ本体
- 濾紙
- Oリング
どちらが優れている?
「カートリッジタイプの方が性能が良いの?」
という質問を受けることがあります。
しかし、どちらもエンジンオイルをろ過するという役割は同じです。
性能の優劣ではなく、
メーカーが車両設計に合わせて採用している方式
と考えると分かりやすいでしょう。
そのため、自分の車に指定された部品を使用し、正しい方法で交換することが大切です。
現役整備士として感じること
私が整備している中でも、スピンオンタイプとカートリッジタイプのどちらも日常的に交換しています。
スピンオンタイプは比較的作業しやすい一方で、カートリッジタイプはOリングの組み付けや締め付けトルクなど、より慎重な作業が求められます。
どちらも正しい手順で交換することが、オイル漏れやトラブル防止につながります。
アンダーカバーがある車・ない車
一昔前の車では、車体の下側からそのままオイル交換ができる車種も多くありました。
しかし最近では、燃費性能や空力性能、エンジンルーム内への泥や水の侵入防止などを目的として、大きなアンダーカバーが装着されている車種が増えています。
そのため、オイル交換を行う前にアンダーカバーを取り外す必要がある車も少なくありません。
📷 ここに写真
・アンダーカバー付き
・アンダーカバーなし
点検口だけ外せる車もある
車種によっては、オイル交換用にサービスホール(点検口)が設けられており、その部分だけを外せば作業できるようになっています。
一方で、
- オイルドレンボルト
- オイルフィルター
の位置によっては、アンダーカバー全体を取り外さなければ作業できない車種もあります。
同じオイル交換でも、こうした違いによって作業時間は大きく変わります。
📷 ここに写真
・サービスホール
・全面カバー
固定方法もメーカーによって違う
アンダーカバー一つを外すだけでも、メーカーによって固定方法はさまざまです。
例えば、
- 樹脂クリップ
- プラスチックリベット
- ボルト
- スクリュー
- ナット
など、多くの種類があります。
さらに、輸入車では特殊なねじが採用されていることも珍しくありません。
そのため、車種ごとに適切な工具を使い分けながら作業を進めています。
📷 ここに写真
・クリップ
・ボルト
・スクリュー
特殊工具が必要な車もある
最近の車は、一般的な工具だけでは対応できない車種も増えてきました。
代表的なものとして、
- トルクス(Torx)
- トリプルスクエア(XZN)
- ポジドライブ(Pozidriv)
などがあります。
普段あまり耳にしない名前ですが、自動車整備ではよく使用される工具です。
特に輸入車では採用されていることが多く、国産車でも一部で使用されています。
適切な工具を使わないと、ねじ山を傷めてしまう原因にもなるため注意が必要です。
📷 ここに写真
・トルクス
・トリプルスクエア
・ポジドライブ
オイル交換に必要な工具
「オイル交換」と聞くと、レンチ一本でできるイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし実際の整備現場では、多くの工具を使い分けています。
例えば、
- ラチェットハンドル
- ソケット
- メガネレンチ
- トルクレンチ
- オイルフィルターレンチ
- オイルジョッキ
- 廃油受け
- パーツクリーナー
- ウエス
などが必要になります。
車種によっては専用工具が必要になることもあり、整備工場ではさまざまな工具を揃えています。
📷 ここに写真
工具を並べた写真
同じオイル交換でも工賃が違う理由
「車種によって工賃が違うのはなぜ?」
と思われる方もいるかもしれません。
その理由の一つが、作業内容の違いです。
例えば、
- アンダーカバーの脱着が必要
- オイルフィルターの位置が狭い
- 特殊工具が必要
- オイル量が多い
- 作業スペースが狭い
など、同じオイル交換でも車種によって難易度は大きく変わります。
整備士は、限られたスペースの中で確実に作業を行い、オイル漏れや締め付け不足がないよう確認しながら作業しています。
そのため、車種によって工賃に違いが出ることがあります。
現役整備士として感じること
約10年間整備士として働いてきて感じるのは、「オイル交換=簡単な作業」と思われがちですが、実際には車種ごとに覚えることが非常に多いということです。
オイルフィルターの位置やアンダーカバーの構造、必要な工具、締め付けトルクなど、同じメーカーでも車種が違えば作業方法が異なることもあります。
だからこそ、整備士は日々新しい知識を学び、整備書やメーカーの情報を確認しながら、安全で確実な作業を心掛けています。
オイルレベルゲージがない車も増えている
以前の車では、エンジンルームを開けると黄色い取っ手の付いた「オイルレベルゲージ」があり、自分でオイル量を確認できる車がほとんどでした。
しかし近年では、環境性能や設計の変化により、オイルレベルゲージを装備していない車も増えています。
その場合は、
- メーター内のサービスメニュー
- マルチインフォメーションディスプレイ
- 車載コンピューター
などからオイル量を確認します。
さらに輸入車や一部の高級車では、エンジンを暖機した状態で測定したり、水平な場所で一定時間待つなど、メーカーごとに確認手順が決められています。
そのため、従来のようにゲージを抜いて確認するだけでは対応できない車もあります。
📷 ここに写真
・オイルレベルゲージ
・メーター表示
・サービスメニュー画面
オイル交換後はリセット作業が必要な車もある
最近の車では、オイル交換が終わっても作業はまだ終わりではありません。
車にはオイル交換時期を管理する機能が搭載されているものがあり、交換後にはリセット作業が必要になります。
これを行わないと、
- 「オイル交換時期です」
- 「メンテナンスが必要です」
- スパナマーク
- サービスランプ
などが表示されたままになることがあります。
「昨日交換したのに、もう交換時期の表示が出ている!」
という相談を受けることがありますが、その原因はリセット忘れであるケースも少なくありません。
リセット方法は車種によって異なる
リセット方法はメーカーや車種ごとに異なります。
例えば、
- メーター内のメニュー操作
- ステアリングスイッチ
- TRIPボタンの長押し
- メーターのボタン操作
などでリセットできる車があります。
一方で、
- 診断機(スキャンツール)
- 専用テスター
が必要になる車もあります。
取扱説明書に手順が掲載されている車種もありますが、分からない場合は無理に操作せず、整備工場へ相談するのがおすすめです。
📷 ここに写真
・メーター操作
・診断機接続
・サービスリセット画面
メーカーによって考え方も違う
整備をしていると感じるのは、メーカーごとに設計思想が異なることです。
例えば、
「整備しやすさ」を重視している車もあれば、
「燃費性能」や「空力性能」を優先した結果、整備に時間がかかる構造になっている車もあります。
どちらが良い・悪いというわけではなく、それぞれ目的に合わせた設計がされているということです。
こうした違いを知ると、普段何気なく乗っている車にも、メーカーの工夫や考え方が見えてきます。
現役整備士として伝えたいこと
私は約10年間、さまざまなメーカーや車種の整備に携わってきました。
その中で感じるのは、オイル交換は「ただオイルを抜いて入れるだけ」の作業ではないということです。
車種によっては、
- オイルフィルターの位置
- アンダーカバーの脱着
- 特殊工具の使用
- オイル量の確認方法
- リセット作業
など、作業内容は大きく変わります。
だからこそ整備士は、メーカーの整備書や最新の情報を確認しながら、一台一台に合わせた作業を行っています。
お客様から見えない部分ではありますが、安全で確実な整備を行うためには、こうした知識や経験が欠かせません。
まとめ
オイル交換は一見するとシンプルなメンテナンスですが、実際には車種やメーカーによって作業内容が大きく異なります。
今回ご紹介したように、
- オイルフィルターの位置
- スピンオンタイプとカートリッジタイプの違い
- アンダーカバーの構造
- 使用する工具
- オイルレベルの確認方法
- オイル交換後のリセット作業
など、車ごとにさまざまな違いがあります。
こうした違いがあるからこそ、整備工場では車種ごとに適切な手順で作業を行い、安全性や性能を維持しています。
普段は見えない部分ですが、この記事を通して「オイル交換って意外と奥が深いんだ」と感じていただけたら嬉しいです。
そして、ご自身でメンテナンスをされる方も、整備工場へ依頼される方も、愛車を長く大切に乗るための参考になれば幸いです。


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